2020/06/16
防災・危機管理ニュース
政府は16日、新型コロナウイルス対策として打ち出した需要喚起策「Go To キャンペーン」の事務局公募を再開した。野党による巨額委託費への批判を受け、事務局の選定方法は変更したが、飲食・商店街支援を合わせた委託費の上限額は計3095億円のまま。支出の合理化を図った形跡は見て取れない。
キャンペーンは旅行代金の補助などを通じ、コロナ禍で冷え込んだ需要を喚起するもので、事務局は政府に代わって実務を取り仕切る。観光に飲食・商店街支援などを加えた予算総額は約1.7兆円、委託費はその2割弱を占める。
委託費の内訳は、国土交通省・観光庁の観光支援が2294億円、農林水産省が行う飲食店支援が469億円、経済産業省の商店街・イベント支援は332億円。政府は事務局の選定・発注を担当省庁ごとに行う方式へ改めたが、各省庁に元の金額を割り振っただけに終わった格好だ。
赤羽一嘉国交相は16日の記者会見で「委託費はあくまで上限」と説明。事務局選定に当たっては、事業の効率性を重視し、執行状況もチェックする考えを示した。29日に観光分野の募集を締め切り、7月上旬をめどに委託先を決定する。
今回は主要業務の再委託を禁止する規定を設けて「丸投げ」を防ぐほか、選定から漏れた応募者名も公表する。中小事業者を支援する持続化給付金事業を受注し、税金の「中抜き」批判を浴びたサービスデザイン推進協議会をめぐる混乱が念頭にあるのは明らかだ。
観光支援では、旅行代金の半額分を、1人1泊当たり2万円を上限に割り引きやクーポンで補助する。観光業界にとっては干天の慈雨だが、開始は当初想定の7月下旬から8月上旬にずれ込む。
事務局の業務は事業説明会や宣伝活動、最低2億~3億枚と見込まれるクーポンの発行や偽造防止対策など多岐にわたる。残された時間は少ない。
(ニュース提供元:時事通信社)
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