【香港時事】中国政府による香港統制を強化する「国家安全維持法」施行を受け、民主派の香港離脱や活動停止表明が相次いでいる。香港政府は2日深夜、抗議活動のスローガンは同法に抵触するとの判断を示し、これまで香港に存在しなかった中国式の言論統制が加速。「デモ支持」を掲げていた飲食店が表立った支持を取り下げるなど、市民の間でも摘発から身を守る動きが目立つ。
 2014年の民主派の大規模デモ「雨傘運動」を主導した羅冠聡氏(26)は2日、フェイスブックを通じて香港を離れたと明かした。米議会の公聴会で国家安全法について証言したことで「予測できない危険にさらされている」と述べ、今後は海外で活動を続ける意向を示した。
 報道によると、中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会で国家安全法が可決された6月30日、著名活動家の黄之鋒氏や周庭氏が所属していた「香港衆志」を筆頭に、香港独立を目指すグループなど少なくとも7団体が解散や活動停止を宣言。メンバーの一部は既に香港を逃れた。
 ロイター通信は、昨年中国当局に拘束された英国の元香港総領事館職員、サイモン・チェン氏の情報として、民主派が海外での「亡命議会」創設を検討していると報じた。チェン氏自身も英国に亡命している。
 一方、香港政府は2日深夜に声明を出し、昨年以降の反政府デモで掲げられてきた「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、革命の時だ)」というスローガンに関し「香港独立の意味を含んでいる」と断定。国家分裂や政権転覆につながる行為を禁じた国家安全法に違反するとの見解を示した。
 香港で1日に行われたデモでは、市民10人が国家安全法違反で逮捕された。香港メディアによると、そのうちの一人である20代の男性は、「光復香港、時代革命」の旗を掲げたオートバイに乗って警官隊に突入し、警官3人を負傷させた。男性は3日、国家分裂を扇動し、テロ活動を行ったという罪状で、同法違反者として初めて訴追された。その他の9人は保釈された。
 ささいな言動も摘発につながりかねず、社会には神経質な空気が漂う。香港では昨年以降、反政府デモを応援するメッセージが書かれた付箋やイラストを壁一面に貼る飲食店があふれたが、当局の警告を受けるなどして多くの店舗がそれらを一斉に撤去した。 
〔写真説明〕「光復」「革命」の標語を掲げて警官隊に抵抗するデモ隊=2019年7月、香港・香港島
〔写真説明〕反政府デモへの応援や中国共産党を批判するメッセージが一面に貼られた飲食店の店内=2019年10月、香港・香港島

(ニュース提供元:時事通信社)