豪雨で大規模な土砂崩れが発生した熊本県芦北町では5日、当局による懸命な救助活動が続いた。同町女島では午前5時ごろ、倒壊した民家から60代の夫婦が見つかり、その後死亡が確認された。夫婦を知る男性は「(夫は)生まれたときからの付き合いで誠実な人間」と悲痛な表情を見せた。
 夫婦宅の向かいに住むバス運転手小崎廣一さん(75)によると、4日早朝、「ドドーン」という大きな音が響いた。外を確認すると、娘と3人暮らしだった夫婦宅1階に土砂が流れ込んでいた。近隣住民らは救助に向かったが、2階にいた娘を助け出すのが精いっぱいだった。夫婦は1階で寝ていたとみられる。
 バケツから水を落としたような激しい雷雨は4日未明から続き、やがて自宅近くの女島川が氾濫。同日午前3時ごろには濁流が玄関先まで迫ったため、必死でかき出したという小崎さん。「見渡す限り海だった。過去に川が氾濫したこともあるが1回くらい。大丈夫だと思っていた」と振り返った。
 近くに住む無職小崎哲也さん(69)も、土砂崩れで平屋の自宅が損壊し、床上浸水の被害を受けた。4日未明に近所に避難したが、自宅に戻ると室内は土砂にまみれ、玄関やガレージなどが完全にひしゃげていた。生まれ育った家だが「もうここには住めないね」と言葉少なに語った。 
〔写真説明〕土砂崩れで倒壊した民家=5日午前、熊本県芦北町

(ニュース提供元:時事通信社)