九州を中心とした豪雨で観光業が大きな打撃を受けている。新型コロナウイルス流行による旅行客激減から再起を図る矢先の災害に、関係者からは嘆きの声が相次ぐ。製造業の工場は操業再開が進むものの、一部で復旧のめどが立っていない。
 大分県の天ケ瀬温泉旅館組合(日田市)では、加盟する宿泊施設13軒のうち8軒で浸水などの被害が発生。共同露天風呂「川湯」も泥をかぶったり、建物の一部が流されたりした。周辺道路の通行止めもあり、復旧には時間がかかりそうだ。業界関係者によると、豪雨の地域では浸水被害がなくても宿泊のキャンセルが出ているという。
 コロナ禍により4~5月に休業していた多くの宿泊施設では客足が戻りつつあった。政府の旅行需要喚起策が22日に始まるなど、回復への期待が高まっていただけに、豪雨被害は大きな痛手だ。日田市観光協会の担当者は「目の前の片付けで精いっぱい。今後のことを考える余裕はない」とため息をつく。
 一方、九州・中国地方の工場で一部稼働を停止していたトヨタ自動車、ダイハツ工業、マツダの3社は通常の生産体制に復帰した。ルネサスエレクトロニクスは熊本県錦町の工場を6日に再開。8日は生産を見合わせていた三菱電機の2工場(岐阜県中津川市、長野県飯田市)も9日から稼働している。
 ただ、三井金属鉱業では福岡県大牟田市内の工場が冠水して操業を停止。東海カーボンも田ノ浦工場(熊本県芦北町)が水蒸気爆発による火災で生産を休止したままで、復旧の見通しは立っていない。
 気象庁によると、引き続き全国各地で大雨の恐れがある。現時点で豪雨の直接的な影響を受けていない企業からも「さまざまな事態に備えて、十分な注意が必要だ」(自動車大手)との声が出ている。 

(ニュース提供元:時事通信社)