トルコの世界遺産「イスタンブール歴史地区」を代表する大型建造物アヤソフィアで24日、イスラム教の金曜礼拝が86年ぶりに行われた。かつてキリスト教の大聖堂だったアヤソフィアは博物館として運用されていたが、イスラム保守層を支持基盤とするエルドアン大統領がモスク(イスラム礼拝所)への地位変更を強行。隣国ギリシャなどキリスト教徒が多い各国との緊張がさらに高まりそうだ。
 エルドアン大統領はアヤソフィアで金曜礼拝に参加した後、「モスクに戻った。国民の長年の望みが満たされた」と述べた。礼拝前には国際社会の反発を「気にしない」と述べ、地位変更はトルコの内政問題だという認識を強調していた。
 アヤソフィアにはキリスト教の聖母子画などが描かれているが、イスラム教では偶像崇拝が厳しく禁じられているため、布で覆い隠す措置が取られた。敷地内外には新型コロナウイルスの脅威が続く中、数万人規模の人々が押し寄せた。
 トルコの行政最高裁判所は今月10日、アヤソフィアが1930年代にモスクから博物館に変更されたのは「無効」と判断。エルドアン氏は同日、アヤソフィアをモスクに戻す大統領令を出した。その後、あらかじめ準備されていた礼拝用のじゅうたんが敷かれるなど一気に「モスク化」が進められた。
 アナリストのオメル・トゥラン氏は取材に対し、エルドアン氏の娘婿のアルバイラク財務相が司法判断前にツイッターでモスク化を断じるような投稿をしていたことなどから「(政府の)指示を受けて下された判断だ」と指摘。司法の独立が守られていないという認識を示した。
 アヤソフィアは6世紀にギリシャ正教の大聖堂として建立されたが、15世紀のオスマン帝国によるコンスタンチノープル(現イスタンブール)征服後、モスクに改装された。オスマン帝国解体後の1935年、世俗化を推進したトルコ初代大統領アタチュルクの統治下で無宗教の博物館となり、「異文化共存の象徴」と見なされるようになった。 
〔写真説明〕トルコの世界遺産アヤソフィア=4月12日、イスタンブール(AFP時事)
〔写真説明〕24日、イスタンブールのアヤソフィアで、トルコのエルドアン大統領(中央)も参加して行われた金曜礼拝=トルコ大統領府提供(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)