【サンパウロ時事】メキシコで殺人事件が増加しており、治安・市民保護省によると、今年上半期の被害者は前年同期比1.7%増の1万7493人に達した。地元メディアは過去最悪と報道。多くは麻薬カルテルの抗争絡みとみられている。
 日本人学校がある中部グアナフアト州イラプアトでは6月6日、数人の武装グループが薬物中毒患者のリハビリ施設を襲撃して銃を乱射し、10人が死亡した。7月1日には別のリハビリ施設が襲われて27人が死亡。犯人らは入所者らを横たわらせ、無慈悲に銃弾を浴びせた。カルテルの関与が濃厚という。
 首都メキシコ市では6月26日、市の治安責任者が武装集団に銃撃されて負傷、護衛2人と市民1人が死亡した。九死に一生を得た責任者は「(最も凶悪とされる)カルテル・ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオンの卑劣な攻撃」と断じた。同月には中部コリマ州で連邦判事夫妻が何者かに殺害される事件もあった。
 カルテルの武器調達源は、癒着している警察官とみられる。ロペスオブラドール大統領は連邦政府が管理する「国家警備隊」を創設し、麻薬組織対策や治安維持の権限を州警察組織などから移管させたが、効果はほとんど表れていない。
 大統領は治安状況を発表した今月20日の記者会見で「若者や雇用創出、福祉などに注力し、暴力の根源の解決に取り組んでいる。汚職とも闘っている」と胸を張ったが、足元の治安改善にはつながらず、力量不足が露呈している。 
〔写真説明〕多数が殺害されたメキシコ中部グアナフアト州イラプアトの事件現場近くに出動した国家警備隊の隊員=1日(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)