熊本県内で65人が亡くなり、2人が行方不明になった豪雨災害は、4日で発生から1カ月となった。球磨川の氾濫などで県南部を中心に住宅が浸水し、被害は少なくとも全半壊が606棟、床上浸水が5686棟に上る。
 入所者14人が亡くなった同県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の前には、4日までに献花台が設置され、花束やペットボトルの水が置かれていた。
 午前8時前に訪れ、花束やどら焼きなどを供えた人吉市の犬童しず子(64)さんは、叔母の寺床美與子さん(88)を亡くした。左手で数珠を握りしめ数秒手を合わせると、すすり泣きが漏れハンカチで目元を押さえた。「苦しかったね」と声を掛けたという。
 村では計25人が犠牲となり、午前9時に防災無線で住民に1分間の黙とうが呼び掛けられた。役場屋上では職員ら約60人が黙とう。家の片付けを止め、サイレンの下、千寿園に向かって手を合わせる住民の姿もあった。その後、松谷浩一村長の言葉が流れ、「被害は甚大で完全復旧には時間を要する。村の復興を全力で行う」と表明した。
 生活再建に向けた動きも本格化している。公的支援を受けるのに必要な罹災(りさい)証明書は、被災した全23市町村で交付が始まった。仮設住宅の整備も進み、県は7市町村で14団地、計425戸の建設に着手。球磨村では33戸が完成し、入居も始まった。 
〔写真説明〕14人が犠牲となった特別養護老人ホーム「千寿園」の前で、手を合わせる男性=4日午前、熊本県球磨村
〔写真説明〕豪雨災害から1カ月となり、熊本県球磨村役場屋上で黙とうする村職員ら=4日午前

(ニュース提供元:時事通信社)