イスラエルで新型コロナウイルス「第2波」の感染拡大が深刻化している。政府は経済悪化への懸念から国民の大幅な行動制限に踏み切れず、打つ手は限られているのが現状。ネタニヤフ首相のコロナ対応に不満を募らせた人々による退陣要求デモも続き、混乱が深まっている。
 人口は約920万人と日本の10分の1以下だが、感染者は7万5000人を超え、死者は約550人に達した。連日1000~2000人規模の新規感染が判明しており、ネタニヤフ首相は3日、「罹患(りかん)率は世界で最悪の水準にある」と述べた。
 イスラエルは2月の時点で入国規制を打ち出すなどし、ネタニヤフ氏は「世界で最も安全な国」と自賛していた。3月から4月にかけての「第1波」に際して全土封鎖など強い対応で臨んだところ、感染者数は一時、1日当たり10人未満にまで低下した。その後、経済活動の制限を緩めるにつれ、流行が再燃した。
 政府は目下、国民の行動規制を再び強化することも検討している。ただ、これまでの規制による影響で失業率が20%を上回るなど国民の痛みが顕在化。エルサレムやテルアビブでは経済状況への不満から数千人規模の抗議デモが繰り返され、こうした集会が感染拡大に拍車を掛けかねないジレンマに陥っている。
 3月の総選挙を受けて続投したネタニヤフ首相は、7月にもパレスチナ自治政府が領有権を主張するヨルダン川西岸のユダヤ人入植地などを併合する方針とみられていた。しかし、指導力低下に直面する中、国際社会の批判をかわす上での後ろ盾であるトランプ米政権の明確な支持も得られず、計画を進められない状況にある。 
〔写真説明〕イスラエル政府に対する抗議デモの参加者たち=1日、テルアビブ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)