商船三井が手配した貨物船「WAKASHIO」による燃料流出をめぐり、現場のインド洋の島国モーリシャスで重油の除去・回収作業が続いている。事故で約1000トンの重油が燃料タンクから漏出して一部が海岸に漂着し、観光を主要産業とする同国の自然環境への深刻な打撃が懸念されている。被害の賠償責任も今後の焦点となりそうだ。
 これまでに、破損していない燃料タンクから約1020トンと、流出した油のうち約460トンを回収した。船内に残る重油約1600トンと軽油約200トンの回収を急ぐ。
 事故を起こしたのは長鋪汽船(岡山県笠岡市)が所有する大型ばら積み船。現地時間7月25日に座礁し、8月6日に重油流出が確認された。船体に入った亀裂が拡大しており、船が割れて沈没したり、一部が漂流して別の場所に被害をもたらしたりする恐れがある。現在、漂流を防ぐためタグボートに係留している状態という。
 事故現場の周辺はサンゴ礁が広がる海で野鳥の保護区にも近く、生態系への影響は甚大だ。事故の賠償責任は船主である長鋪汽船が負う。商船三井に直接の賠償責任はない。海難事故に関する責任を定めた船主責任制限条約とバンカー条約では、船主に賠償責任保険への加入を求める一方、賠償額に上限を設定している。
 長鋪汽船が加入した保険の場合、油流出に伴う被害に関する賠償は最大10億ドル(約1000億円)まで。船の撤去費用は上限の定めがない。
 損保業界関係者によると、両条約に基づく損害賠償額は20億円程度が上限となる可能性がある。ただ、船主側に重大な過失などがあれば上限を超える請求が認められることもあるという。
 今後は、漁業・観光関係者らの損害額に加え、野生生物などの被害についてどこまで責任を問われるかも焦点となる。被害額の確定には時間がかかりそうだ。 
〔写真説明〕10日、モーリシャス沖で座礁した貨物船から流出した重油(EPA時事)
〔写真説明〕9日、モーリシャス沖で貨物船から流出した重油の除去作業が続く(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)