トヨタ自動車が、毎年春に実施する定期昇給を成果型にする方向で労働組合と最終調整に入った。人事評価次第で昇給がゼロになる可能性もある新方式に一本化し、2021年度からの運用を目指す。新型コロナウイルスを契機に多様な働き方の導入が進む中、実力重視の成果連動型昇給が自動車業界のみならず産業界全体に広がっていきそうだ。
 自動車業界では、日産自動車が15年ほど前に定期昇給を廃止して成果主義をいち早く導入したものの、ホンダなど他の大手は年齢や職位などに基づく定期昇給を継続。自動車大手からは「日本の製造業で定昇と決別するのは簡単でない」(関係者)との声も聞かれた。だが、足元の新型コロナ感染拡大で働き方の見直し機運は急速に高まっており、「人事システムも大きく変わっていく」(別の自動車大手)との見方が強まってきた。
 既に電機業界では成果連動型の動きが進んでおり、日立製作所や富士通は人事評価や成果によって昇給額に差をつけている。職務範囲を明確に定めた「ジョブ型」雇用制度の導入も一部で始まった。
 経営側からは成果連動型を求める声が多い。経団連が1月に公表した大手企業の労務担当役員を対象にした調査によると、今後ウエートを高めたい昇給方法として「評価査定で金額が変わる昇給」が7割を占めた。その一方、「勤続・年齢に応じた自動昇給」はわずか1%にとどまった。
 しかし、労働組合側には警戒感が根強い。大手メーカーの労組幹部は「行き過ぎた成果主義が導入されれば職場の分断を招きかねない」と危惧する。ニッセイ基礎研究所の金明中主任研究員は「最初の1年目は高い給与をもらっても、成果が上がらない場合にずっと昇給が止まってしまうこともあり得る」と問題点を指摘している。 
〔写真説明〕賃上げを求めて気勢を上げるトヨタ自動車労働組合=2018年3月、愛知県豊田市

(ニュース提供元:時事通信社)