2020/09/05
防災・危機管理ニュース
近年の豪雨では、想定されるダムの対処能力を上回る洪水が常態化しており、対応は待ったなしだ。政府は既存ダムの有効活用による事前放流を対策の切り札とする方針で、自民党総裁選に立候補した菅義偉官房長官が陣頭指揮を執ってきた。
2018年の西日本豪雨では8基、19年の台風19号では6基のダムが、満水に近づき流入量と同じだけ放流する「緊急放流」を余儀なくされた。西日本豪雨では、緊急放流した愛媛県のダムの下流流域で浸水被害が発生、犠牲者も出た。これに対し、政府が目を付けたのが利水ダムだ。
利水ダムは発電用、水道用、農業用、工業用でそれぞれ異なる役所が所管する。菅氏は、利水ダムで事前放流が可能になるよう、国土交通省を中心に省庁横断での対応を指示。この結果、1級の全99水系で事前放流に関する協定が結ばれ、洪水への対処能力は従来の約2倍に増加した。
菅氏は今月2日の自民党総裁選への出馬会見でも「事前放流は河川の氾濫防止に大きく役立つ」と強調した。
2級水系では、利水ダムが全国で約280基あり、政府は洪水能力のさらなる強化を目指す。
例えば、長崎県ではこれまでに36水系で協定を締結、洪水対処能力が約1.5倍に拡充した。県には独自の損失補填(ほてん)の枠組みがなく、担当者は「国の(補填)制度があるといい」と指摘する。
(ニュース提供元:時事通信社)
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