菅義偉氏が自民党総裁に決まったことで、地方銀行に再編の圧力が高まりそうだ。自民党総裁選への出馬会見では、全国102行に上る地銀の数について「多過ぎる」と発言、将来の再編の必要性を訴えた。単独での生き残りを目指す地銀にとっては、「寝耳に水」(第二地銀関係者)の事態。政治主導で再編が進む可能性に、警戒感が広がっている。
 「再編も一つの選択肢になる」。出馬会見から一夜明けた3日、菅氏は具体的な地銀改革の手段にまで踏み込んだ。異例とも言える発言だが、人口減少や超低金利に加え、新型コロナウイルスを受け経営環境が悪化する地銀の持続性に疑問を投げ掛けた格好だ。
 菅氏は官房長官として、地銀再編を後押ししてきた経緯がある。親和銀行(長崎県佐世保市)を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループと、十八銀行(長崎市)の経営統合では、統合を後押しする金融庁と、独占禁止法上の問題を指摘する公正取引委員会との対立を調整。これを踏まえ政府は特例法を成立させ、地銀が統合・合併を進めやすくなる道筋をつけた。
 独禁法の特例法は11月に施行される見通し。ある西日本の地銀関係者は「適用第1号の事例を作るため、再編圧力が強まるのではないか」と不安を隠さない。実際、菅氏の発言以降、青森県の青森銀行とみちのく銀行の統合観測も浮上した。
 統合後の融和に苦労する地銀も多く、「くっつければ良くなるわけではない」(別の地銀関係者)との声も根強い。しかし、再編圧力をかわし単独存続を目指すハードルは高い。 

(ニュース提供元:時事通信社)