気象庁は25日、豪雨災害をもたらす「線状降水帯」の予測精度を向上させるため、梅雨期に九州西方の東シナ海で同庁の観測船を使い、大気下層の水蒸気観測を行う方針を明らかにした。気象研究所が2018年から試みて成果があったため、防災気象情報に生かす。必要な機器の整備費を21年度予算概算要求に盛り込んだ。
 積乱雲が次々に発達して列を成す線状降水帯は、7月上旬に九州で梅雨前線による豪雨が続いた際、多発した。台風に比べて規模が小さく、発生のタイミングや場所、継続時間を予測するのが難しい。全国どこでも発生する可能性があるが、九州の場合、積乱雲のもととなる水蒸気の流れや量を西方海上で観測できないため、予測がさらに困難だった。
 大気中の水蒸気量分布は気象衛星ひまわりで観測しているが、積乱雲の発生に直接つながる大気下層の水蒸気量は良いデータを得られない。このため、大気中に含まれる水蒸気が多くなるほど電波が遅れる現象を利用し、陸上では国土地理院が全国に整備している全地球測位システム(GPS)観測網のデータを取り込み、水蒸気量分布に変換して防災気象情報などに生かしている。
 海上では気象研が福岡と那覇を結ぶ貨物船などにGPS機器を搭載してもらい、観測・データ処理技術の確立を目指してきた。気象庁の担当者は「技術的なめどが立った。観測船は荒れた海域には行けないが、前線や低気圧などの位置に応じ、効果的と思われる場所で水蒸気観測を行いたい」と話している。 

(ニュース提供元:時事通信社)