企業犯罪 VS 知能犯刑事 麻布署6年の研究と発見
企業犯罪と知能犯捜査の概略
第1回 告訴・告発と事件送致
株式会社 kibi 代表取締役/
元警視庁警部補
榎本 澄雄
榎本 澄雄
愛媛松山生まれ。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業。警視庁警察官拝命後、麻布署刑事課・知能犯捜査係主任刑事として、社会的反響の大きい詐欺・横領・名誉毀損事件を数多く担当。6年あまりで警視総監賞四件、刑事部長賞七件、組織犯罪対策部長賞三件受賞。著書に『元刑事が見た発達障害』、共著に『自傷・他害・パニックは防げますか?』がある。大手人材企業の顧問として、自治体受託プロジェクトに参加し、クレーム・トラブルのケアからCS、ESまで指南した。株式会社 kibi 代表取締役。https://www.kibiinc.co
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こんにちは。榎本澄雄と申します。
私は以前、知能犯捜査の刑事でした。今回から『企業犯罪 VS 知能犯刑事 麻布署6年の研究と発見』というタイトルで「企業の皆さまのお役に立つ情報」をお届けします。「企業犯罪が起こる組織」や「見逃してはいけない企業犯の特徴」「企業のダークサイドと企業犯罪」、その他企業の「売上向上」と「商品開発」に役立つ「企業リスク」などを、警察が事件捜査する視点で書いていきたいと思います。法務部や危機管理・BCPの担当者さま、経営者の皆さまの企業版「刑事資料」だと思ってください。
この連載は、少し「供述調書」の書き方を意識しています。調書とは、「ノンフィクション小説」です。私が文章作成の面白さに目覚めたのは、刑事の供述調書と捜査報告書でした。事件があり、葛藤があり、情念と人間のドラマがそこにあったからです。
今回は、「企業犯罪」などを担当する「知能犯捜査の概略」をお話しします。企業で詐欺や横領など犯罪があった場合、事件相談へ行く窓口は、通常、警察署の刑事課知能犯捜査係です。「知能犯捜査」は詐欺、業務上横領、贈収賄、選挙違反などの「知能犯」を捜査します。知能犯刑事は暴力団や不良集団などと渡り合うため、弁護士さんや検事さんとは違って、荒れた現場の経験とバックグラウンドを持っていることが特徴です。