災害時に下水道のマンホールのふたを外して簡易トイレを置き、テントで覆って使用する「マンホールトイレ」。排せつ物が下水道に直接流れて衛生的なほか、地面と段差なく設置でき、車いす利用者らのバリアフリー対策としても有効だ。しかし、避難所で使用するには下水道管を延伸しなければならず、全国的な普及に至っていない。国土交通省と内閣府は、市町村に整備を検討するよう求める通知を初めて出し、てこ入れに乗り出した。
 「障害者にとって避難所は居づらい場所。その大きな原因はトイレだ」。重い障害を持つれいわ新選組の木村英子参院議員はこう語り、避難所のトイレ環境の改善を訴える。
 車いすの障害者が、介護者のサポートを受けながらトイレを使う際には十分なスペースが必要。マンホールトイレは、大きいテントを用いれば広いスペースを確保できるため、こうしたケースにも適している。仮設トイレと違い、バキューム車の調達が不要なメリットもある。
 だが、2018年度末時点で整備済みの市町村は3割ほどで、総数も約3万2500基にとどまる。九州地方などを襲った今年の7月豪雨で使用されたのも、熊本県人吉市の避難所1カ所で2基のみだった。
 中小規模の市町村の下水道事業は、汚水処理や洪水対策などが優先され、マンホールトイレまで手が回らない事情もあるという。マンホールトイレの先進自治体とされる宮城県東松島市の下水道担当者は「下水道部門だけで自発的にやるのは難しい」と指摘する。
 両府省も下水道部門と防災部門の協力が重要と考え、23日に出した通知では、両部門が連携してマンホールトイレの整備を検討するよう市町村に要請。設置方法や先進事例を示したガイドラインや、下水道管の避難所までの延伸など整備費を支援する交付金の活用を促し、普及につなげる考えだ。 
〔写真説明〕災害時の避難所に設置されるマンホールトイレ(熊本市提供)

(ニュース提供元:時事通信社)