2020/10/31
防災・危機管理ニュース
【ロンドン時事】新型コロナウイルスの感染拡大が続く英国で、全土ロックダウン(都市封鎖)が再導入されるとの観測が強まっている。政府は地域ごとの規制強化で対処しようとしてきたが、28日に全国規模の規制を決定したフランスとドイツに続き、一層の厳格な措置を求める声が上がっている。
インペリアル・カレッジ・ロンドンによる最新の報告書によれば、イングランドの1日当たりの新規感染者は10万人近くで、感染者数は9日ごとに倍増中。第2波での死者が最悪の場合8万5000人に上るとする別の推定もある。報告書は「イングランドを襲う第2波は危機的な段階に達した」と警告した。
感染が特に深刻なのは北部で、経済への影響を避けたい政府はこれまで全国一律の規制ではなく、地域の状況に応じた「局地的ロックダウン」方式で対応してきた。しかし、ロンドンの実効再生産数(1人の感染者が平均してうつす人数)がイングランドで最悪になるなど南部でも事態は悪化。ウェールズでは既に23日から17日間の一斉ロックダウンが始まった。
こうした状況を危惧する科学者らは「既存の措置は十分でない」と主張。野党労働党のスターマー党首は「政府は科学的助言に従わず、(流行阻止への)統制力を失った」と批判し、短期の全土封鎖が必要とされていると政府に迫った。
国民の間では、春の第1波時のロックダウンによる「規制疲れ」から、再度の制限強化への反発が根強い。一方、このままではクリスマスを普段通り家族や友人と過ごすことができなくなると不安を訴える人も多い。
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