気象庁気象研究所は2日、7月4日朝に熊本県・球磨川の氾濫を引き起こした豪雨をモデルとして、九州南西海域上空の水蒸気量データを取り込んだり、世界最高性能のスーパーコンピューター「富岳」(理化学研究所)を利用したりすれば、予測精度が上がるとの研究成果を発表した。こうした手法を将来実用化できれば、豪雨の時間帯や場所を正確に予測し、防災に生かせると期待される。
 気象研は2018年12月から九州西方海域で、気象庁の観測船や民間貨物船に衛星電波受信装置を搭載し、上空の水蒸気量を観測する実験を続けている。日米ロシアの測位衛星群から電波を受信し、船との距離を精密に把握する一方、水蒸気が多くなるほど電波の到達が遅れる現象を利用し、大気下層の水蒸気量を計算する仕組み。
 現在は観測データを船上からリアルタイムに送信するシステムがなく、豪雨が終わった後に解析した。その結果、熊本県南部や鹿児島県北部に南西側から流れ込む水蒸気の量を既存の観測データに合わせると、半日前の時点の雨量予測精度が大幅に上がった。来年度はリアルタイムに送信し、解析する技術を開発する方針。
 富岳や気象研のスパコンを使い、気温や気圧、水蒸気量などの条件を少しずつ変えて1000通りのシミュレーションを行う実験でも、半日前の時点の雨量予測精度が上がった。計算手法を開発しながら行ったため、今回の実験には約20日間かかっており、今後も開発を続ける。 

(ニュース提供元:時事通信社)