国内の新型コロナウイルス感染者急増に産業界が警戒感を強めている。感染が一段と広がれば、個人消費や観光需要が冷え込み、経済がさらに打撃を受ける恐れがあるためだ。企業や団体は年末の仕事納めの前倒しや会食の抑制、テレワーク推進など、感染防止対策を改めて徹底している。
 日本商工会議所の三村明夫会頭は19日の記者会見で、感染者急増について「消費マインドに影響する」と懸念を示した。その上で、政府から要請を受けたテレワークや時差出勤の活用、年末年始休暇の分散などの対策について「できるところは積極的にやる」と強調した。日商は、今年の仕事納めを12月28日から24日に前倒しする。
 企業は在宅勤務の励行や出張抑制などを継続しており、「感染再拡大を受けて改めて注意喚起」(日産自動車)に動いている。ある大手金融機関は、感染者が多い地域などメリハリを付けて在宅勤務比率の調整を続ける。「年末年始は会食が増えるのでプライベートでも気を付けるよう促している」(大手電機)などと会食抑制を呼び掛ける企業も多い。
 19日時点では、小売業やサービス業の営業時間への影響は見られていない。家具大手ニトリホールディングスは「対策を怠らないようにして営業を継続する」と話す。東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドも現時点で営業時間の短縮などは決めていない。スポーツジムなどを運営するRIZAP(ライザップ)グループは今月末から全トレーナーを対象に定期的なPCR検査を始め、利用者の安心感を高める方針だ。
 一方、政府の需要喚起策「Go To トラベル」で持ち直しつつあった旅行・運輸業界には影響が出始めた。日本航空と全日本空輸では航空券などの予約の伸びが鈍化。旅行大手は「北海道は予約が鈍っており、他地域に広がる可能性がある」と警戒する。再び緊急事態宣言が出て経済活動が停滞すれば、「多くの失業、廃業が出る」(三村氏)恐れもあるだけに、産業界は対策を緩めないよう気を引き締め直している。 
〔写真説明〕記者会見する日本商工会議所の三村明夫会頭=19日午後、東京都千代田区
〔写真説明〕新型コロナウイルスの影響による休業から約4カ月ぶりに営業を再開した東京ディズニーランドで、間隔を空けて開場を待つ客=7月1日、千葉県浦安市