2020/11/26
防災・危機管理ニュース
政府は、新型コロナウイルス感染症対策分科会が感染拡大地域との往来自粛などを求める提言をまとめたことを受け、「この3週間が極めて重要な時期」(菅義偉首相)と位置付け、感染防止対策を徹底する。ただ、社会経済活動との両立を重視する基本線は維持。観光支援策「Go To トラベル」の除外地域を広げることには慎重だ。
首相は26日、首相官邸で西村康稔経済再生担当相、赤羽一嘉国土交通相らと会い、分科会が25日に出した提言への対応を協議した。この後、首相は記者団に、営業時間短縮に協力する飲食店への支援に努めると表明。「皆さんと一緒になってこの感染拡大を何としても乗り越えていきたい」と呼び掛けた。
トラベル事業をめぐり政府は24日、札幌、大阪両市を目的地とする旅行の一時除外を決定。これを受け分科会は、両市や東京23区、名古屋市を感染拡大地域と想定し、同地域から出発する旅行の一時停止の検討を求めた。
ただ、首相は運用の見直し拡大について、25日の衆院予算委員会で「地域経済の下支えになっている」と否定的だ。加藤勝信官房長官は26日の記者会見で「地域の感染状況と各都道府県における判断などを踏まえて対応していく」とあくまで自治体の要請を受けて判断する考えを示した。
一方、政府は感染防止には、トラベル制限よりエリアや業種を絞った飲食店の営業時間短縮が有効とみており、対象店舗に協力金を支払う地方自治体への財政支援を強化する方針だ。
首相は26日、記者団に「時間短縮に協力した全ての店舗に国としてしっかり支援する」と表明した。加藤氏は会見で財源となる地方創生臨時交付金500億円に触れ、「すぐに足らなくなるという状況にはないが、不足する場合には適切な対応をしていく」と増額に含みを残した。
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- コロナウイルス
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
津波による壊滅的被害から10年
宮城県名取市で、津波により工場が壊滅的な被害に遭いながらも、被災1週間後から事業を再開させた廃油リサイクル業者のオイルプラントナトリを訪ねた。同社は、東日本大震災の直前2011年1月にBCPを策定した。津波被害は想定していなかったものの、工場にいた武田洋一社長と星野豊常務の適切な指示により全員が即座に避難し、一人も犠牲者を出さなかった。震災から約1週間後には自社の復旧作業に取り掛かり、あらかじめ決めていたBCPに基づき優先業務を復旧させた。現在のBCPへの取り組みを星野常務に聞いた。
2021/01/21
-
台湾をめぐる米中の紛争リスクが高まる
米国のシンクタンクCouncil on Foreign Relations(CFR)は、2021年に世界中で潜在的な紛争が起こる可能性を予測する最新の報告書を公表した。報告書は、台湾問題における米国と中国の深刻な危機を、世界の潜在的な紛争の最高レベルとして初めて特定した。
2021/01/20
-
これからの国土づくり 「構想力」と「創意工夫」で
政府の復興構想会議のメンバーとして東北の被災地を訪ね、地域の再生や強靭な国土づくりに多くの提言を行った東京大学名誉教授の御厨貴氏は当時、これからの日本の行方を「戦後が終わり、災後が始まる」と表現しました。あれから10年、社会はどう変わったのか。いつか再び起こる巨大地震をめぐり、政治・行政システムや技術環境、市民の生活や仕事はどう進歩したのか。これまでを振り返ってもらいながら、現在の課題、今後の展望を語ってもらいました。
2021/01/14