国内の養鶏場として先月、2年10カ月ぶりに発生した高病原性鳥インフルエンザの感染が広がっている。11月5日の香川県での発生を皮切りに、福岡、兵庫、そして養鶏の一大産地である宮崎と、西日本の4県に拡大。殺処分される鶏は200万羽を超え、過去最多となる見通しだ。ウイルスを持ち込んだ「犯人」とみられる渡り鳥の本格的なシーズンを迎え、全国の自治体が警戒を強めている。
 「やっぱり出たか」(香川県畜産課)。12月2日、同県三豊市で11日ぶりに鳥インフルが発生して県職員はため息をついた。同市ではわずか2週間余りの間に、最初の発生地から半径3キロという狭い域内で7例が続発。今回の再発は一連の殺処分を終え、消毒などの防疫作業を進めているさなかだった。職員は「殺処分は24時間休みのないハードワーク。通常業務がまた滞る」と話す。
 ブロイラー飼育数国内首位の宮崎では、2日正午までに2例が立て続けに発生。特に都農町で起きた2例目の10キロ圏内には166の養鶏場が集積しており、関係者に緊張が走った。発生に伴い輸出が停止したことも打撃だ。県の担当者は、「県産ブランドの『みやざき地頭鶏』を海外へ売り込もうと調整していたのだが」と肩を落とした。
 農林水産省によると、欧州では鳥インフルが大流行しており、ユーラシア大陸から日本に飛来した渡り鳥がウイルスを持ち込んだ可能性が高い。香川や兵庫はため池が多く、渡り鳥が集まりやすい。一方で、北海道や鹿児島県でも野鳥のふんなどからウイルスが検出されており、「日本全国どこでも発生し得る」(農水省)状況だ。
 発生地に近い養鶏農家では、「感染すれば周辺農家にも迷惑を掛ける」(宮崎)として不安が広がっている。野上浩太郎農水相は「(養鶏場の)衛生管理徹底とともに、地域一体となって消毒などに取り組み、ウイルスを持ち込まないようにすることが重要だ」と指摘している。 
〔写真説明〕高病原性とみられる鳥インフルエンザが発生した養鶏場で殺処分を行う宮崎県職員ら=2日未明、同県都農町(宮崎県提供)

(ニュース提供元:時事通信社)