【ニューデリー時事】政府軍と反政府勢力タリバン、過激派組織「イスラム国」(IS)による戦闘が続くアフガニスタンは、ここ数年で最悪の治安状況に陥っている。トランプ米政権が仲介した政府とタリバンの和平交渉は年明けまで中断し、先行きは見通せない。政府軍とタリバンとの衝突は激化し、最近では政治家や記者が殺害されるテロも相次いでいる。
 ◇車爆弾、銃撃、ロケット弾
 米国防総省は17日、制服組トップのミリー統合参謀本部議長がカタールの首都ドーハでタリバンの代表団と会談し「暴力行為を即刻削減する必要性」を強調したと発表した。過去1カ月の治安悪化はすさまじい。
 アフガン東部ガズニ州では18日、付近の住民が集まっていた民家近くで自動車爆弾が爆発し、少なくとも15人が死亡、20人が負傷した。首都カブールでは15日、カブール州のモヘビ副知事の車に仕掛けられた爆弾がさく裂し、副知事と秘書が死亡している。
 東部ジャララバードでも10日、女性ジャーナリストが車で移動中、運転手と共に銃撃され死亡、ISが犯行を主張した。カブールでも11月、報道局の番組司会者が暗殺された。報道関係者への襲撃や脅迫が目に見えて増えている。
 首都では11月以降、ロケット弾による攻撃も頻発した。大使館や国際機関の施設が立ち並ぶ警戒厳重な「グリーンゾーン」付近にも着弾し、もはや安全な場所はない。
 ◇トランプ後の熱意不明
 アフガンをめぐっては今年2月、米国とタリバンが和平合意に調印した。タリバンが政府との和平交渉に応じ、暴力行為を抑制し、ISなど他のテロ組織の活動を抑え込めば、米軍が完全撤収すると申し合わせた。合意を受け、タリバンは一時、対ISの戦闘を強めている。
 ただ、タリバンとの和平に消極的とされるガニ大統領が渋り、交渉開始は予定から半年以上遅れ9月までずれ込んだ。ドーハで始まった交渉は協議の手続き論をめぐり紛糾。今月2日、互いが正式な「国名」と考える呼称を交渉中は使用しないといった歩み寄りで、ようやく本題入りが期待されている状態だ。
 交渉は現在、両者が「議題について相談する」(米国のハリルザド・アフガン和平担当特別代表)ため来年1月5日まで中断中。しかし、ガニ氏は今月14日、「交渉は(ドーハでなく)アフガンで行うべきだ」と唐突に提案した。交渉の主導権を握りたい思惑がありそうだが、揺さぶりを嫌うタリバンの反発も予想される。
 米軍のアフガン撤収を選挙に向けて実績としたかったトランプ米大統領がいなくなれば、米政府の熱意も分からなくなる。和平の先行きはさらに不透明感を増している。 
〔写真説明〕記者が爆殺されたアフガンのテロ現場=11月12日、南部ヘルマンド州ラシュカルガー(EPA時事)
〔写真説明〕アフガンのガニ大統領=11月19日、カブール(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)