【ロンドン時事】英国と欧州連合(EU)が自由貿易協定(FTA)交渉で合意した。鋭く対立してきた両者が歩み寄ったのは、決裂によって生じる政治・経済両面の悪影響を回避する「リスク管理」(EU高官)優先の姿勢で一致したためだ。
 FTAが成立すると、通常は当事国間で関税の引き下げや規制の擦り合わせが行われ、交易が活発になる。半面、交渉が不調に終わっても現状が大きく変わったり、市民生活に支障を来したりすることはない。
 ところが英EU間は異なる。今年1月末までEU加盟国だった英国は、高度な自由貿易圏をEUと構築済みだからだ。その状態が年末まで維持される「移行期間」中にFTAをまとめないと、EU主要国ドイツやフランスと英国との貿易には約半世紀ぶりに関税が復活する。そうなれば、新型コロナウイルスの感染拡大で縮小した英国やEUの経済にとって二重の打撃となるところだった。