2020年は、新型コロナウイルス禍でも世界各地で紛争が絶えなかった。新兵器投入から兵士同士の格闘まで形はさまざまだが、民族間の対立など以前からの問題が顕在化したという点は共通している。いずれも争いの根本原因は解消しておらず、火種はくすぶり続けている。
 ◇ドローンを駆使
 アゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる戦闘は9月27日に始まった。どちらが開戦の口火を切ったかは不明のままだが、11月10日にロシアの仲介で停戦に至った。
 ドローンを駆使してアルメニア側の対空装備を無力化したアゼルバイジャンの圧勝で終わった。入念に準備された紛争だった。
 アゼルバイジャンの首都バクーでは12月10日、同国を裏で支えたトルコのエルドアン大統領を招き、戦勝パレードが実施された。アリエフ大統領は「アルメニアがひざまずいた」と勝利演説を行った。
 ◇平和賞受賞者の戦争
 エチオピア政府は11月4日、「北部ティグレ州で違法な暴力活動を確認した」と主張し、軍事攻撃に着手した。隣国エリトリアとの和平実現を評価され19年にノーベル平和賞を受賞したアビー首相が始めた戦争だった。
 ティグレ州は1990年代からエチオピア政治を動かしてきた少数民族ティグレ人が支配していた。アビー首相ら最大民族オロモ人との権力闘争が火を噴いた。
 エチオピア軍は11月28日、州都メケレの「完全掌握」を宣言。州政府は同じ日、声明を出し、アビー政権とエリトリアが手を組んだティグレ人攻撃だったと非難し「ファシストによる虐殺と破壊にふさわしい対応を行う」と報復を誓っている。州政府幹部は逃亡中で、ゲリラ戦への移行も取り沙汰されている。
 ◇45年ぶりの死者
 インド軍と中国軍も6月、インド北部ラダックの国境地帯で衝突し、45年ぶりの死者を出した。国境地帯で火器を使わない申し合わせを守った結果、「石や棒で殴り合った」と報じられた。インド軍が20人の死亡を認める一方、中国兵40人死亡と伝えたインドの報道に対し、中国外務省は「虚偽の情報だ」と猛反発。衝突の全貌は明らかになっていない。
 こうした中、イエメンなど世界の紛争地で避難民に食料援助を続けてきた国連の世界食糧計画(WFP)が12月10日、ノーベル平和賞を受賞した。WFPのビーズリー事務局長は「3000万人がまさに今、日々の食料を100%、WFPに頼っている」と訴えている。 
〔写真説明〕ナゴルノカラバフの中心都市ステパナケルトのがれきから自らの所有品を捜す高齢者=10月10日(AFP時事)
〔写真説明〕エチオピア北部ティグレ州から逃れ、スーダンの難民キャンプで食料の配給を待つ子供たち=12日、東部ガダレフ州(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)