(写真:イメージ)

こんにちは。元知能犯刑事、榎本澄雄です。

今回は、「100年企業の成長を今すぐ守る!『捕食者』の検分方法〜その1 刑法第246条 詐欺罪」というテーマでお話しします。

ポイントは三つあります。

1. なぜ、詐欺師は逃げないのか?〜詐欺師の生態
2. なぜ、詐欺事件の捜査は進まないのか?〜告訴相談の切り開き方
3. どのように詐欺師を見分ければよいのか?〜詐欺師の見分け方
です。

なぜ、詐欺師は逃げないのか?〜詐欺師の生態

これまでお話しした通り、私は麻布署刑事課で知能犯捜査係にいました。当時の記憶では、平日に毎日平均1件くらい新規の告訴相談があった印象です。警視庁の警察署では6日に1回から5日に1回の頻度で宿直(朝から翌日までの当直勤務)がありました。

告訴相談は宿直の知能犯刑事が受理していました。相談の8割ぐらいが詐欺事件の相談だったと覚えています。この「告訴相談」は、ビジネスパーソンにとって非常に重要なキーワードですから、別途、説明します。

「いやぁ、実は私も困ってるんですよ……」
詐欺師はこのように言い訳しながら、警察署へ出頭してきます。

今回、主にお話しする詐欺師は、「オレオレ詐欺」など顔の見えない犯罪者ではありません。あなたの周りに普通にいて、普通の暮らしをしながら、獲物を物色。日々、ホテルのラウンジなどで「商談」をしている詐欺師です。

一般に告訴事件の相手方(容疑者、被疑者、参考人)は、刑事が電話を掛ければ応答しますし、警察署に呼び出せば、事情を話しに出頭します。出頭しないと、かえって警察に怪しまれることを知っているからです。

もちろん、窃盗や強盗、恐喝など盗犯事件や強行犯事件で、刑事が犯人に電話を掛けて呼び出すようなことは普通しません。飛ばれる(逃亡される)からです。また証拠隠滅されたり、被害者に報復、仕返しすることも考えられます。同じ理由から、詐欺事件でもオレオレ詐欺の犯人に安易に電話を掛けて、呼び出すような捜査はしません。

一般刑事事件と異なる告訴事件の特徴は、二つ。

1. 相手(犯人)が誰か分かっている
2. 民事事件(商取引上のトラブルなど)を「仮装」している

中には刑事事件になり得ないケースもありますから、知能犯刑事は書面などの基本的な任意捜査(「基調」と言います)を済ませ、関係者を電話などで呼び出して、任意に事情聴取した上で、慎重に判断します。