2021/01/07
防災・危機管理ニュース
政府は7日夕、新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・菅義偉首相)を首相官邸で開き、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県を対象にした緊急事態宣言を決定した。発令期間は8日から2月7日まで。感染リスクが高いとされる飲食店などへの営業時間短縮の要請が対策の柱。首相は記者会見で「1カ月後には必ず事態を改善させる」と決意を示した。
首相は宣言について「これ以上の感染拡大を食い止め感染を減少傾向に転じさせるために決断した」と強調。時短営業や午後8時以降の不要不急の外出自粛を国民に呼び掛けた。特に若年層には「両親など大切な命を守るための行動」を訴えた。
医療体制確保のため新型コロナ対応の病床を増やした医療機関に「1床当たり450万円の補助を上乗せする」と表明した。
宣言解除の基準について、西村康稔経済再生担当相は衆院議院運営委員会で、感染状況が4段階中2番目に深刻な「ステージ3」相当を目安に判断すると説明。東京に関しては「感染者数が1日当たり500人」を下回ることを挙げた。政府分科会の尾身茂会長は会見で「みんなが頑張れば1カ月以内でもステージ3は可能だ」と語った。
基本的対処方針では、飲食店などに午後8時までの時短営業を要請し、応じない場合は店名を公表。要請に応じた飲食店の協力金について、首相は1カ月当たり120万円から180万円に増額することを明らかにした。
テレワークなどを推進して出勤者数の7割減を目指すほか、大規模イベントの開催は「収容人数の50%」を上限に「最大5000人」とする。
国の観光支援事業「Go To トラベル」に関しては、首相は対策本部で「宣言中は停止する扱いを継続する」と語った。
一方、小中高校への一斉休校は求めず、今月行われる大学入学共通テストや高校入試などは感染対策に万全を期した上で予定通り実施する。
ただ、感染者数は全国で急増しており、愛知県や大阪府などは感染状況次第で、追加指定を政府に要請することを検討。首相は大阪府の追加指定には現時点で否定的な考えを示したが、今後、対象地域の拡大や期間延長の判断を迫られる可能性がある。
宣言は新型コロナ対策の特別措置法に基づき、発令は昨年4月以来。前回は飲食店や映画館、百貨店など幅広い業種が休業対象となったが、今回は飲食店などへの時短要請を中心とする「限定的、集中的」な対策となった。
〔写真説明〕1都3県に緊急事態宣言で記者会見する菅義偉首相=7日午後、首相官邸
(ニュース提供元:時事通信社)

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