2021/01/21
防災・危機管理ニュース
「ようやく事故の真の原因究明に近づけた」。2016年に長野県軽井沢町で起きたスキーツアーバス転落事故で、長野地検は21日、バス運行会社「イーエスピー」の社長ら2人を在宅起訴した。事故の遺族らは相次いでコメントを発表した。
亡くなった大谷陸人さん=当時(19)=の両親は弁護士を通じ、「突然未来を奪われた13人の子供たちは戻ってこないが、起訴は一歩前進」とコメントを出した。西原季輝さん=同(21)=の母親は「凄惨(せいさん)な事故が二度と起きない仕組み作りがされるよう、これからも国に訴えていく」と強調した。
池田衣里さん=同(19)=の父親は「家族の時間はあの日から止まったまま。それでも一つの通過点に到達した思いだ」と心情を吐露。小室結さん=同(21)=の両親も「二度とこのような事故が起きないよう法廷で事故原因と責任が究明され、被告人が法の下にしかるべく裁かれることを希望する」とした。
指導していたゼミ生4人が犠牲になった尾木直樹法政大名誉教授(74)は「彼らの輝く笑顔を思い出すたび悔しさが募る」と心境を明かし、「起訴がバスの安全性をより一層高める契機になることを願ってやまない」とつづった。
遺族でつくる「1.15サクラソウの会」代表の田原義則さん(55)は次男の寛さん=同(19)=に「やっと一歩進んだよ」と語り掛けたという。「一番の思いは『事故の責任の所在明確化と再発防止』に変わりない」と強調。運行会社に法廷で事実をありのまま説明するよう求めた。一方で国などには、今後明らかになる事実を基に、事故の再発防止に向け取り組むよう訴えた。
(ニュース提供元:時事通信社)
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