【モスクワ時事】ロシア各地で23日に行われた反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の釈放を求める抗議デモでは、全土で参加者3500人超が治安当局に拘束され、プーチン政権が抗議を力で封じ込める姿勢が鮮明になった。ロシアで9月に下院選を控えていることに加え、新型コロナウイルスの影響による経済落ち込みもあり、政権は反政権機運の拡大を強く警戒している。
 欧米はナワリヌイ氏拘束を非難し、即時釈放を求めているが、プーチン政権は「国内問題」(大統領報道官)として取り合わない立場を表明。国際社会からの批判がさらに高まるにもかかわらず、デモの取り締まりに踏み切ったのは、国内統治を重視したからだ。
 ロシアでは昨年7月に憲法改正が成立し、プーチン大統領は2036年まで大統領の座にとどまることが可能になった。しかし、改憲後にロシアの勢力圏とされるベラルーシなど旧ソ連圏で政情不安が相次ぎ、影響力低下が指摘された。また、プーチン氏の健康不安説や私生活をめぐる醜聞が流れ、政権内で権力争いが起きているという見方がある。
 昨年8月に毒殺未遂に遭い、ドイツで療養していたナワリヌイ氏はこうしたロシア国内の状況や9月に迫った下院選をにらみ、今月17日に帰国したが、大方の予想通り拘束された。ただ、ナワリヌイ氏としてはロシアに厳しい立場を取るバイデン米政権が20日に発足し、拘束されても国際社会の支援を得られるとの読みがあったとみられる。
 政権と反体制派が攻防を繰り広げる中で行われた今回の抗議デモを受け、カーネギー財団モスクワ支部のコレスニコフ上級研究員はツイッターで「抗議行動は続く」と予想。一方で「いまだ大多数の国民が無関心であることを含め、政権には生き残るための大きな底力がある」として、政権を揺るがすまでには至らないという見解を示した。 

(ニュース提供元:時事通信社)