京浜急行電鉄の快特列車が2019年9月、横浜市内の踏切で立ち往生していたトラックと衝突、脱線した事故で、運輸安全委員会は18日、運転士が停止信号を視認できる位置を通過してから「約1.8秒以内に非常ブレーキをかける必要があった」とする報告書を公表した。
 一方で、信号は踏切内で異常を検知した際に急に点滅する特殊なもので、「即座に反応することは困難」と指摘。余裕を持ってブレーキ操作ができるよう「信号の位置を適切に配置する必要がある」と言及した。
 報告書によると、信号は踏切の手前約390メートルに設置されており、さらに約175メートル手前で初めて点滅を視認できた。運輸安全委の試算では、時速120キロで走行した場合、この位置に到達してから約1.8秒以内に制動力の強い非常ブレーキを使えば、踏切までに停止できることが分かった。
 実際は、運転士は同様の速度で走行し、信号を視認できる位置を過ぎてから約4秒後に非常ブレーキより弱い「常用ブレーキ」を操作した。報告書は、約0.7秒に1回点滅する信号が架線の柱などに遮られて「気づくのが遅くなった可能性がある」と指摘。また、当時の京急電鉄の内規では、「(信号点滅時は)速やかに停止」とのみ定められ、常用、非常ブレーキの使い分けも明文化されていなかった。
 同社は事故後、信号の設置ルールを見直したほか、信号点滅時の対応について、非常ブレーキを基本とした内規に変更した。
 事故は19年9月5日午前11時40分ごろ発生。8両編成の下り快特列車がトラックと衝突し、1~3両目が脱線。トラック運転手=当時(67)=が死亡し、列車の乗客乗員計77人が重軽傷を負った。 
〔写真説明〕トラックと衝突して脱線した京浜急行の快特列車=2019年9月5日、横浜市(時事通信ヘリより)

(ニュース提供元:時事通信社)