日米欧など先進7カ国(G7)首脳は20日未明(日本時間)、テレビ会議で首脳声明を採択し、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする方針で一致した。自由貿易の推進では、中国の知的財産権の侵害や国有企業への補助金などに懸念も表明。ただ、日本は化石燃料への依存度が高い上に中国との経済的な結び付きも強く、難しいかじ取りが求められそうだ。
 G7は近年、「自国第一主義」を掲げたトランプ前米政権と各国が意見の隔たりを埋められず、気候変動や自由貿易などの問題をめぐり共同歩調を取れなかった。今回、米国が同盟国との関係を重視するバイデン政権に代わったことで、今後はこれら問題への連携が進む見通し。声明は21年を「多国間主義のための転換点」にするとうたい、協調路線への復帰を印象付けた。
 しかし、脱炭素に向けた動きはG7内でも温度差がある。米国は政権交代を機に石油業界の保護から化石燃料の脱却に重点を移し、欧州と足並みをそろえた。
 これに対し日本は、脱炭素化の目標こそ共有するものの、原発再稼働や再生可能エネルギーの普及は遅れ、当面は石油など化石燃料に頼らざるを得ない。またガソリン車の製造は主力産業の一つで、多くの雇用を抱える。脱炭素へ急激にかじを切れば、企業や国民に過度な負担を強いることになりかねない。
 また、対中政策にも濃淡がある。声明は、中国を名指しながら「公正な世界経済システム」を働き掛けていくとした上で、国有企業への補助金など「非市場志向の政策や慣行」の是正に取り組む姿勢を強調した。しかし、中国は日本にとって最大の貿易相手国。新型コロナウイルス感染拡大で経済が落ち込む中、対中輸出の増加が日本の製造業の回復をけん引している面もある。
 みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は、「バイデン政権の対中政策が明らかになれば、日本も共同歩調を取るよう要請され、難しい判断を迫られる可能性がある」と指摘する。 

(ニュース提供元:時事通信社)