脱炭素社会の実現に向け、環境問題などに積極的に取り組む企業を選んで投資する「ESG投資」が世界で急拡大している。日本企業にとっては、脱炭素化を進め国際的な競争力を高めるため、こうした海外投資家からの資金調達が必要になる。ただ、日本国内の投資額は欧米に比べ見劣りするのが実情。金融庁は企業に情報開示の強化を促し、ESG投資を国内に呼び込む考えだ。
 国際エネルギー機関(IEA)は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の実現には2040年までに世界全体で最大8000兆円の投資が必要と試算。民間調査によると世界のESG投資は増加しており、18年には3000兆円を超えた。このうち欧州が46%、米国が39%を占めるが、日本は7%にとどまる。
 温暖化がもたらす気候変動は、洪水の増加など、社会や企業活動に甚大な影響を与えかねない。それだけに投資家の関心も高まっており、温暖化対策に積極的な企業はより多くの資金を集め、環境に配慮したさらなる成長投資が可能になる。日本でも鉄鋼など温室効果ガス排出量の多い産業を中心に、エネルギー効率改善などへ継続的な資金調達が必要になっている。
 これらESG投資促進のカギを握るのが、企業の情報開示だ。気候変動に関する財務情報の開示を推進する国際的な枠組み「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」は17年、気候変動がもたらすリスクと事業機会の情報開示を推奨する報告書を公表。英国は25年までにTCFD開示を完全に義務化、他の欧州諸国も検討を進めている。
 日本でも既に300社超がTCFDに任意で賛同しているが、経団連などは義務化に難色を示す。ただ、出遅れると海外からの資金調達に支障が出る恐れもある。このため金融庁は、企業の情報開示強化に向けた検討に着手。企業が提出する「有価証券報告書」に気候変動に関する記載を義務付けるなどの案が浮上している。
 もっとも、急拡大するESG投資の対象には、温室ガスの削減効果が疑問視される事業も含まれている。さらなる普及・拡大には、形だけ環境重視の姿勢を装う企業をふるいにかける公正な指標づくりが急務だ。 

(ニュース提供元:時事通信社)