【バンコク時事】ミャンマー国軍は28日、クーデターに抗議するデモ隊に発砲するなどし、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は信頼できる情報として、最大都市ヤンゴンなど6都市でデモ参加者少なくとも計18人が死亡、30人以上が負傷したと明らかにした。国軍がクーデターで実権を掌握してから3月1日で1カ月になるが、これまでで最悪の流血の事態となった。デモ隊への弾圧を強める国軍のミン・アウン・フライン総司令官の責任を問う声が高まるのは必至だ。
 治安部隊は28日、各地で街頭に繰り出したデモ隊に向けて発砲し、強制排除に当たった。OHCHRによると、ヤンゴンと第2の都市マンダレー、中部のバゴーとパコック、南部のダウェーとミエイクで実弾の使用による死者が出た。ヤンゴンでデモ参加者が死亡したのはクーデター後初めて。
 OHCHRは、28日だけで医療従事者や学生少なくとも85人、報道関係者7人が拘束されたと指摘。「ミャンマー国民には民主主義の回復を要求する権利がある。国軍に平和的なデモ隊に対する武力行使の即時停止を求める」と強く非難した。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチも「治安部隊が殺傷力のある武器の使用を増やしているのは言語道断」と批判する声明を出した。
 混乱長期化の背景には、国軍の読み違いがあったという見方が強い。国軍は非常事態宣言の解除後に実施する「複数政党による公正な選挙」で勝利した政党に権力を引き継ぐ方針を示すことで、国民の反発を抑え込めると踏んだ可能性がある。また、民主化を思うように進められず、少数民族和平などの公約を十分に実現できなかった国民民主連盟(NLD)政権に不満を持つ層の支持に期待したとみられる。
 ところが、NLDが圧勝した昨年11月の総選挙で大規模な不正があったと主張し、無効にしようとする国軍に国民は怒りを爆発させた。国内でカリスマ的人気を維持するアウン・サン・スー・チー氏の長引く拘束にも不満を募らせ、国軍との対決姿勢を強めている。
 欧米諸国は国軍への制裁を強化する方針を打ち出し、圧力をかけている。デモ隊も外国の支援に期待を寄せ、「私たちの指導者を解放せよ」と英語で書かれたスー・チー氏の肖像入りのプラカードなどを掲げている。
 ミャンマーが加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)は域内安定化のため、混乱の早期収拾を望んでいる。ミャンマー情勢を協議する特別外相会議を3月2日にも開き、対話による正常化をミャンマーに促す見通しだ。 
〔写真説明〕28日、ミャンマー第2の都市マンダレーで、実弾による銃撃で負傷し治療を受けながら、三本指を立てクーデターへの抗議の意思を示すデモ参加者(AFP時事)
〔写真説明〕28日、ミャンマーの最大都市ヤンゴンで、警察が放った催涙ガスを消そうと試みる抗議デモ参加者(AFP時事)
〔写真説明〕28日、ミャンマーの最大都市ヤンゴンで、ごみ箱で障壁を設け、国軍によるクーデターに抗議するデモ隊(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)