海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」(広島県・呉基地所属)が大型貨物船と衝突した事故は、8日で発生から1カ月。近距離の大型船になぜ衝突寸前まで気付かなかったのか。安全確認の際、ソナー(水中音波探知機)の死角に貨物船が入り探知できなかったり、貨物船の位置を誤認したりした可能性もある。
 高知海上保安部(高知市)が業務上過失往来危険や業務上過失傷害の疑いで捜査し、防衛省海上幕僚監部の事故調査委員会も潜水艦乗組員からの聞き取りを進めている。
 事故は2月8日に高知県・足摺岬沖で発生。水面に潜望鏡を出す露頂(ろちょう)中に貨物船(約5万トン)と衝突したそうりゅうは、艦橋右舷側のかじなどを損傷し、乗組員3人が軽傷を負った。貨物船は船首下部を損傷。そうりゅう側は衝突直前に気付いたが、回避できなかった。
 「そうりゅうは浮上前、近くに船舶の存在を示す音源はないと判断したようだが、どういう手順を踏んだのか確認する」。事故後、政府筋はこう語っていた。
 自衛隊関係者によると、ソナーは艦首にあり、艦尾方向に「バッフル」と呼ばれるスクリュー音を探知できない死角が生じる。このため潜水艦は、船体の向きを変えて死角をチェックしながら3~4段階に分けて浮上するという。そうりゅうの確認が不十分だったり、機器に不具合があったりして、後方から死角に接近した貨物船を把握できなかったことも考えられる。
 確認作業は船舶の推進音を聴ける水中通話機でも行うが、このチェックもすり抜けたことになる。音を探知しても、海中での音波の屈折の影響で距離を誤認することもあるという。