【バンコク時事】ミャンマーでクーデターを実行した国軍は14日、最大都市ヤンゴンの2地区に、翌15日には4地区に戒厳令を出した。対象地域では国軍が司法権と行政権を掌握。警察に代わって治安維持を主導するとみられ、市民に対する弾圧が一段と強まる恐れがある。国際社会は相次いで声明を出し、歯止めが利かない治安当局の実力行使を非難した。
 戒厳令が出されたのはヤンゴンのラインタヤ、シュエピタ両地区などで、いずれも工場が集中する地域。国営テレビは「治安と法の支配、平穏を効果的に維持するためだ」と説明した。
 地元メディアはラインタヤ地区で14日、治安部隊の発砲で58人が死亡したと報道。人権団体の政治犯支援協会によると、他の地域でも16人が死亡しており、1日の犠牲者数としては最悪の規模となった。地元メディアは15日も中部ミンジャンなどで計9人が死亡したと伝えている。2月1日のクーデター以降、殺害された市民は150人を超えたとみられる。
 ミャンマーを担当する国連のブルゲナー事務総長特使は声明で、デモ隊の殺害や拘束者の拷問に関する報告を受けたと指摘し、「国軍は自制や人権の尊重を求める国際社会の呼び掛けに応じていない」と非難。駐ミャンマー英大使は「無実の市民に対する殺傷力のある武器の使用にがくぜんとした」と批判し、「暴力の即時停止と国民に民主的に選ばれた勢力への権力の返還」を要求した。
 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは「治安部隊はつけ上がり、実弾でデモ隊を標的にしている」と糾弾。ミャンマーの人権問題に詳しい国連の李亮喜前特別報告者ら海外の専門家3人でつくる独立組織「特別諮問評議会」は、「暴力を止めるため、国際社会が直ちに政治介入すべきだ」と呼び掛けた。
 15日は無線機を違法に輸入した輸出入法違反など4件で訴追されたアウン・サン・スー・チー氏の公判が予定されていたが、24日に延期された。弁護士によると、インターネットの接続が悪く、ビデオ会議方式での実施が困難なためという。 
〔写真説明〕15日、ネピドーでオートバイを止め、身分証を確認するミャンマー警察(AFP時事)
〔写真説明〕14日、ヤンゴンで、デモ隊と治安部隊の衝突を避け、逃げるミャンマー市民(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)