【ロンドン時事】英政府は16日、安全保障や外交の中長期計画を定めた「安保・国防・外交政策統合レビュー(見直し)」を発表し、保有する核弾頭の上限目標を現在の180発から260発に引き上げる方針を表明した。冷戦終結後の世界の核軍縮の流れを変える転機となる可能性がある。
 英国の核政策に関し、2020年代半ばまでに保有核弾頭数を180発程度まで減らすと表明していた軍縮計画を「進化する安保環境」に対応するためとして撤回した。「最小限で信頼できる、独立した核抑止策」を遂行していく方針も示した。
 20年にストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が公表した各国の核弾頭保有数はロシアが6375発、米国が5800発、中国が320発、フランスが290発、英国が215発で、核保有5大国の中では英国の核弾頭数が最も少なくなっていた。英国の核増強は、世界的な核軍縮の流れと逆行する動きで、大きな議論を呼びそうだ。
 「競争時代のグローバル・ブリテン(世界の英国)」と題された約110ページのレビューは、欧州連合(EU)を離脱した英国が、向こう10年間で目指す新たな「国家ビジョン」を示した。対外・国防方針や世界経済への姿勢を詳述した。
 インド太平洋は「激化する地政学上の競争の中心」と位置付けられた。覇権主義的傾向を強める中国を念頭に、対外政策の重心をインド太平洋地域に「傾斜」させていく方向性を鮮明にした。
 中国を名指しし「英国の経済安保の最大の国家的脅威」と断言。対中関係は貿易や投資面で重要と認めながらも、中国の軍事近代化と太平洋周辺での「独断的」な行動が、英国の国益に「ますます大きなリスクとなっている」と指摘した。日本やインド、オーストラリアなど地域の民主主義国家との「より深い関係」を構築していくことが重要だと強調している。 
〔写真説明〕ジョンソン英首相=8日、ロンドン(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)