2021/03/18
防災・危機管理ニュース
政府は18日、新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・菅義偉首相)の会合を首相官邸で開き、首都圏4都県に発令中の緊急事態宣言を期限の21日で解除することを決めた。感染対策は継続し、首都圏の飲食店の営業時間短縮は午後9時までとする。首相は記者会見で国民に協力を呼び掛けつつ、感染抑止へ「できることは全てやり抜く」と強調した。
1月8日に始まった今回の宣言は2度の期間延長を経て2カ月半で全面解除される。ただ、新規感染者数は下げ止まり、一部で増加に転じている。ワクチン接種計画も不透明な中、収束は見通せないままだ。
東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県では、逼迫(ひっぱく)していた医療提供体制が改善。4段階の指標の中で宣言解除の目安とした「ステージ3」(深刻度上から2番目)相当を下回っていることから、首相は会見で「基準を安定して満たしており、解除の判断をした」と説明した。
政府は解除後の対応として、(1)飲食店などでの感染対策(2)変異株の監視体制強化(3)感染拡大の予兆探知のためのモニタリング検査(4)ワクチン接種の推進(5)次の感染拡大に備えた医療提供体制の充実―の5本柱を決定した。無症状者のモニタリング検査は来月に1日5000人規模とする。
飲食店への時短要請に関しては、宣言中は「午後8時まで」としてきたが、当面「午後9時まで」とし、さらに段階的に緩める考え。4都県での時短には1日4万円の支援を行う。
首相は自治体と連携して取り組む考えを示し、「再び宣言を出すことがないように五つの対策をしっかりやるのが私の責務だ」と語った。宣言に準じた対策が可能な「まん延防止等重点措置」については「必要であれば実行に移すのは当然だ」と述べた。
政府は基本的対処方針も改定した。大都市を中心に4~6月に集中検査を実施する。また、変異ウイルスの発生状況を把握するスクリーニング検査を増やす。現在は全陽性者の5~10%程度だが、40%程度に引き上げる。
首相は対策本部に先立ち、衆参両院の議院運営委員会に出席。解除方針を事前報告した。
〔写真説明〕首都圏4都県に発令中の緊急事態宣言の解除を決め、記者会見する菅義偉首相=18日午後、首相官邸
〔写真説明〕新型コロナウイルス感染症対策本部で、首都圏4都県に発令中の緊急事態宣言の解除を表明する菅義偉首相=18日午後、首相官邸
(ニュース提供元:時事通信社)


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