東京五輪・パラリンピックをめぐり、政府、東京都、大会組織委員会などが海外からの一般観客受け入れを断念した。新型コロナの変異ウイルス流行が懸念され、国民の間に大会の中止・延期論もくすぶる中、開催実現には「安全な」大会をアピールする必要があると判断した。
 「国民やそれぞれの国から来るアスリートをはじめ、関係者の安全と安心を確保するためには致し方ない結論だ」。橋本聖子組織委会長は20日の政府、都、国際オリンピック委員会(IOC)などの各代表による会談後の記者会見でこう語り、悔しさをにじませた。
 政府は当初、新型コロナの感染拡大で打撃を受けた地方経済を立て直すため、五輪を機に海外観客を受け入れ、インバウンド(訪日外国人旅行者)回復の足掛かりにすることを期待。菅義偉首相もかねて意欲を示していた。
 しかし、年初からは政府が新型コロナの緊急事態宣言を発令する事態に発展し、最近では変異ウイルスの感染者が続出。「(変異ウイルスが)主流になるのは時間の問題」(専門家)と「第4波」への懸念も出始めていた。
 関係者によると、組織委側は2月ごろから「受け入れ困難」との判断に傾いた。同月下旬には橋本会長自身がこうした意向を首相官邸サイドに伝達。官邸サイドはためらっていたが、最終的に組織委の判断を受け入れたという。組織委幹部は「世論は無視できない」と強調した。
 政府は、緊急宣言の解除に伴い、外国人の新規入国の全面停止措置を当面継続する一方、五輪関係者は例外的に認める方針だ。五輪選手やコーチ、スポンサーなど数万人は入国する見通し。
 政府は変異ウイルスの国内でのまん延防止に向け、対策強化を検討する。入国後の健康・行動管理や検査体制の強化、医療提供体制の整備などが課題となりそうだ。 
〔写真説明〕東京五輪・パラリンピックに向けた5者会談に臨んだ大会組織委員会の橋本聖子会長(中央)。右は丸川珠代五輪相。オンラインで参加する(左から)東京都の小池百合子知事、IPCのパーソンズ会長=20日午後、東京都中央区(代表撮影)

(ニュース提供元:時事通信社)