政府は9日、東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法に関し、海洋放出とする方針を固めた。13日にも関係閣僚会議を開き、正式決定する見通し。漁業関係者らは周辺海域の水産物に対する風評被害を強く懸念しており、政府は安全面の周知をはじめとする対策に全力を挙げる考えだ。
 政府は、処理水を人体に影響がないレベルまで薄めて徐々に放出する方針。しかし、風評被害への不安は強く、漁業関係者は「絶対反対」との姿勢を崩していない。
 第1原発では原子炉の冷却水や地下水が建屋に流れ込み、放射性物質を含んだ水が日々発生している。政府や東電は特殊な機器で放射性物質を取り除いて海に流す方針だが、トリチウムは現在の技術では除去できない。
 海洋放出に当たっては、漁業関係者の理解を得るため、風評被害対策や売り上げが減少した場合の補償が課題となる。梶山弘志経済産業相は9日午前の記者会見で「風評被害は当然起こる。対策に万全を期す」と述べている。
 原発処理水をめぐっては、菅義偉首相が全国漁業協同組合連合会の岸宏会長と7日に会談。首相は、処理水を保管するタンクが増え続ければ第1原発の廃炉作業に支障が出かねないと説明した上で、海洋放出が「現実的」とする専門家委員会の提言を踏まえて処分方法を決定する意向を伝えた。その後記者団に、処分方法を「近日中に判断したい」と表明していた。 
〔写真説明〕菅義偉首相(左から6人目)と会談する全国漁業協同組合連合会の岸宏会長(同4人目)=7日、首相官邸[全漁連提供]

(ニュース提供元:時事通信社)