政府がデジタル広告市場への規制を本格化させる。この市場では米グーグルなど巨大ITが強い影響力を持ち、取引の実態が見えにくいと指摘されている。デジタル市場競争会議(議長・加藤勝信官房長官)が27日まとめた最終報告は、検索や購買の履歴などを基に表示される「ターゲティング(標的型)広告」に関する情報開示や、広告料水増しといった不正への対応など巨大ITに義務付ける対策を列挙した。
 政府は関連する政令の整備を急ぎ、来年にも規制を始動させる意向だ。2月に施行された「特定デジタルプラットフォームの透明性・公正性向上法」を活用する。同法はこれまでネット通販やアプリ販売を対象としていたが、広告分野も新たに加える。広告配信システムを提供するグーグルのほか、米フェイスブックやヤフーが対象となる見通し。同法は厳しい罰則を設けず、巨大IT側の自発的な取り組みを促す仕組みのため、実効性の確保が課題となる。
 最終報告は標的型広告に関し、受け手となる消費者が希望すれば配信対象から除外する仕組みの有無や、収集する情報の範囲と使用条件を配信側の企業が開示すべきだと指摘。政府は今年秋にも個人情報保護ガイドラインを改正し、企業側に対応を求める見通しだ。
 巨大ITは広告枠を販売するウェブサイト運営者と枠を買う広告主を仲介する役割を担う。報告書は巨大ITに対し、閲覧数を水増しして広告料を請求する「アドフラウド」と呼ばれる不正や、フェイクニュースを扱う悪質なサイトに広告が掲載される問題の防止へ体制整備を要請。広告効果を測定するための情報公開の拡充も求めた。
 広告主が一方的に不利益を被る事態を避けるため、巨大ITが配信システムやルールを変更する際は広告主らへの事前通知も義務付ける。
 デジタル広告への本格的な規制は世界的にも珍しいという。加藤官房長官は27日の会議で「わが国が世界に先駆けて方針を決定することは非常に意義深い」と述べ、日本の考え方を世界に発信することで国際的なルール整備に貢献する意向を示した。 
〔写真説明〕デジタル市場競争会議で発言する加藤勝信官房長官(左から2人目)=27日午前、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)