(写真:イメージ)

こんにちは。元知能犯刑事、榎本澄雄です。

今回は「100年企業の成長を今すぐ守る!「捕食者」の検分方法〜その4(地面師の生態)」というテーマです。

ポイントは三つ。
1. なぜ、詐欺師は逃げないのか?〜詐欺師の生態
2. なぜ、詐欺事件の捜査は進まないのか?〜告訴相談の切り開き方
3. どのように詐欺師を見分ければよいのか?〜詐欺師の見分け方

です。

前回は「なぜ、詐欺事件の捜査は進まないのか?〜告訴相談の切り開き方」について、「疑惑の相談簿」「詐欺事件の告訴相談をしたのに、何の記録にも残してないって、刑事さんそれってどういうことですか?」「告訴相談の切り開き方~七つのステップ」「私がだまされた事件と相手の詐欺師について、注意喚起のためSNSで拡散したいのですが、どう思いますか?」を中心にお話ししました。
https://www.risktaisaku.com/articles/-/48604

今回は「どのように詐欺師を見分ければよいのか?〜詐欺師の見分け方」について、「地面師の生態」「被害総額20億 地面師詐欺で新たに5人逮捕」「地面師詐欺12のプロット」「犯罪により害を被ったのは、誰か」「地面師詐欺と民事上の損害」「地面師グループ10人の役者」「地面師詐欺共同捜査本部」を中心にお話しします。

地面師の生態

私が刑事として初めて捜査した詐欺事件で、その後に担当した数々の事件と比べて最も強烈な体験をしたのは、何と言っても「地面師詐欺」です。地面師とは、他人の土地(地面)の所有者になりすまして、第三者に売り飛ばしてしまう不動産詐欺です。あらゆる詐欺の手口の中で「地面師詐欺」や「取り込み詐欺」は、難易度が相当、高いと言われています。手口の複雑さゆえに警察の捜査も後手に回りがちです。

私は2006年、麻布署で初めて刑事になりました。刑事課知能犯捜査係に勤務命免されて、ほんの1カ月ほど署で仕事をし、すぐに地面師詐欺の共同捜査本部へ派遣されました。捜査本部には、捜査二課の係長(警部)、主任(警部補)のほか、代々木署、麻布署、池袋署、麹町署などの捜査員が10人ほど詰めていました。

私たち共同捜査本部が地面師詐欺グループを検挙した2007年当時の新聞報道を見ると、おおむね以下のような見出し、内容で記事が書かれています。

「被害総額20億 地面師詐欺で新たに5人逮捕」

地面師詐欺グループは、事件ごとに10人ほどの中核メンバーがいました。犯人らは2003年ごろから2007年にかけて、港区や渋谷区、中野区などの土地を舞台に、高齢の地主になりすまし、不動産会社に対して「良い土地があるので5億円で買い取ってほしい」などと「商談」を持ち掛け、偽造した地主名義の登記済権利証、運転免許証、印鑑登録証明書などを提示。土地売買契約を結び、土地売買代金として数億円単位の現金や小切手をだまし取っていました。

犯行が発覚したきっかけは、真の地主が不動産会社から問い合わせを受けたことでした。犯人たちは同様の手口で、都内の土地4カ所の売却を他の複数の不動産会社に持ちかけ、総額約20億円をだまし取った疑いが持たれており、私たち捜査本部のメンバーが余罪や共謀関係の裏付けを進めていました。