【サンパウロ時事】南米コロンビアで税制改革をきっかけに反政府デモが激化し、公的機関によると発生10日を迎えた7日までに少なくとも26人が死亡、数百人が負傷した。行方不明者も多数に上っている。親米右派のドゥケ大統領は改革法案を撤回。財務相が辞任したものの事態は収まらず、政治の混迷も深まっている。
 発端となったのは、ドゥケ政権が新型コロナウイルス対策や貧困対策の原資にするために打ち出した税制改革。4月半ばに議会に提出された法案は、非課税だった水道・ガス・電気などの基本サービスや生活必需品に付加価値税を課す内容で、コロナ禍で疲弊し切った市民の不満が爆発した。
 労働組合や学生・市民団体の呼び掛けで4月28日に法案に反対する全国デモが行われ、以後、首都ボゴタやメデジン、カリなどの大都市でデモ隊の一部が暴徒化し、治安部隊と激しく衝突。ボゴタでは暴徒が警察詰め所を火炎瓶で焼き打ちした。治安部隊も実弾で応酬するなどして、死傷者が拡大した。
 こうした状況を受けドゥケ氏は今月2日、「私は財務省が提出した法案を取り下げ、合意による新しい法案を作成するよう求めている」と法案撤回を表明。翌3日にはカラスキジャ財務・公債相が引責辞任し、幕引きを図った。
 しかし、デモ隊側は勢いづき、治安部隊の解散、最低所得保障制度の最低額引き上げ、新型コロナワクチンの接種加速、ドゥケ氏退陣など要求を拡大させている。
 死傷者増加に伴い、政権に対して国際社会からも厳しい視線が向けられ始めた。国連や米国、欧州連合(EU)は当局による「過度な力の行使」に懸念を表明。ドゥケ氏は各政治勢力や市民団体との対話を開始し、7日には「(野党勢力と)生産的な対話を行った」と強調したが、混乱収拾に向けた落としどころは見えていない。 
〔写真説明〕コロンビアのドゥケ政権に抗議し、警官隊と衝突するデモ隊=5日、ボゴタ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)