政府は3回目の緊急事態宣言について、東京など9都道府県を対象に延長・再延長に踏み切る。小刻みな宣言が繰り返される中、政府の期待とは裏腹に大型連休以降の人出は再び増加。新規感染者数の下げ止まりを懸念する声も上がる。新たな宣言期限は6月20日となるが、一層の抑え込みには「1カ月超は必要」(省庁幹部)との指摘も出ている。
 26日に開かれた厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」の会合。宣言発令中の10都道府県の感染状況に関し、東京や関西圏では1日当たりの新規感染者は減少傾向が続く一方、北海道や沖縄は引き続き増加も予想されると指摘した。一部を除き病床使用率などは依然、宣言対象となる「ステージ4」にとどまっている。
 こうした中、政府と専門家がそろって注視するのは人出の推移だ。商業施設への休業要請などを伴った大型連休中、東京や大阪の夜間の人出は4月初めと比較して6~7割、昼間は4~5割程度減少した。
 だが、例えば新宿駅を見ると連休後の人出は大きく反転。菅義偉首相は27日、記者団に感染状況について「東京、大阪などで減少傾向が見られるものの、全体として予断を許さない」と危機感を隠さなかった。
 より感染力が強いとされるインド型の変異ウイルスが国内で拡大する兆候もみられ、24日までに7都府県で29人の感染者が確認された。感染対策の現実的な脅威となりつつある。
 政府は7月23日の東京五輪開幕を見据え「1カ月前には解除しておきたい」(閣僚)のが本音。宣言期限を6月20日とするのにはそうした背景がある。ただ、これまでと同じような短期間の宣言で感染状況が改善するかは見通せない。政府内からは万全を期すため「6月末まで」「7月をまたぐべきだ」との声も漏れる。
 一方、4月下旬から宣言が発令された東京や関西は再延長となり、経済へのダメージは一層深刻化しつつある。一連の政府対応について、立憲民主党の安住淳国対委員長は「だらだらと消耗戦に入ってきている。首相が言っていた短期決戦はもう失敗した。その政治責任はどう取るのか」と訴えた。 
〔写真説明〕記者の質問に答える菅義偉首相=27日夜、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)