【シドニー時事】オーストラリアの新型コロナウイルス対応が正念場を迎えた。徹底的な水際対策などで感染の封じ込めに成功した「優等生」だが、今回は変異によって感染力を増したデルタ株(インド型)に翻弄(ほんろう)されている。最大都市シドニーに再導入した約2週間のロックダウン(都市封鎖)で抑え込みたい考えだ。
 「どれほど防御的な対策を講じても、このウイルスは反撃する手段を理解しているようだ」。シドニーを州都とする豪東部ニューサウスウェールズ州のハザード州保健相は26日、対応にてこずるデルタ株について説明した。州政府は「感染力が少なくとも従来の2倍」と分析。シドニーで16日にデルタ株の感染者を確認してから、27日には30人の新たな感染が判明。今回の感染者は約110人に広がった。
 27日には州外でも新たな感染が相次ぎ見つかった。これを受けて北部ダーウィンではロックダウン、西部パースでは制限措置がそれぞれ導入された。
 豪州は、ウイルスの流入を防ぐために厳しい出入国規制を導入。感染経路を追跡しやすいように、飲食店の利用者が携帯アプリで登録する仕組みも整えた。豪有力シンクタンクの国別の対応力ランクでは、3月時点で9位に入っていた。
 感染を抑え込んでいる間にワクチン接種を進め、集団免疫を獲得する算段だったものの、誤算が生じた。国産ワクチンの開発につまずいた上、当初主力の一つに位置付けていた英アストラゼネカ製は血栓症の懸念から60歳以上に使用を限定。このため接種が進まず、ロイター通信によれば、16歳以上で1回以上接種を受けた人は28%にとどまっている。
 26日には同様に感染が抑制されている隣国ニュージーランド政府が、豪州との隔離なしの自由往来を3日間停止すると決めた。外国人観光客の訪問が再び途絶えれば、持ち直してきた豪州経済にも影響を与えかねない。 
〔写真説明〕27日、ロックダウン(都市封鎖)ですっかり人通りが減ったシドニーの観光名所オペラハウス前(AFP時事)
〔写真説明〕ドライブスルー方式の新型コロナウイルス検査場=25日、オーストラリア・シドニー(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)