三菱電機は30日、長崎製作所(長崎県時津町)で製造している鉄道車両向け空調装置について、不適切な検査を実施していたと発表した。1985年ごろから約35年にわたって不正が行われていたという。また、ブレーキの作動やドアの開閉などに使う空気圧縮機ユニットでも同様の不正が発覚した。外部の弁護士を含む調査委員会を立ち上げ、他にも不正がないか調べる方針だ。
 同社は近年、品質不正や社員のパワハラなど不祥事が頻発しており、信頼回復は一段と遠のいた。85年から2020年までに出荷した空調装置は8万4600台に上るが、不正が行われた装置の数は調査中。同社は「多大なるご迷惑をお掛けし深くおわびする」と謝罪する一方、「安全・機能・性能には問題ない」としている。今後、再発防止策の策定を急ぐ。
 同社によると、空調装置の冷房・暖房能力試験や防水試験で、顧客が指示する「購入仕様書」とは異なる条件で試験を実施。また、以前に行った試験結果を参照して自動的に検査成績書を作成するなどの不正も行っていたという。空調装置の検査不正は社内調査で14日に発覚。28日には空気圧縮機ユニットの不正も判明した。
 同社の鉄道用空調装置の国内シェアは65%を占める。納入先の鉄道会社や経済産業省には既に不正を報告した。全車両に導入する阪神電気鉄道は「詳細な報告を受けて対応を検討する」(担当者)としている。新幹線や在来線の車両に9800台が設置されているJR東日本は「故障の多発などはなく、現時点では運用を変更する予定はない」という。JR東海は3800台、JR西日本は少なくとも6100台導入している。
 三菱電機では近年、不祥事が続いている。18年には子会社によるゴム部品の品質不正が、19年にはエレベーターで不適合部品の使用が発覚。昨年はパワー半導体の検査不正や、欧州連合(EU)の規格に合わない車載用ラジオ受信機の出荷も判明した。
 また、19年には新入社員が上司のパワハラを受けて自殺した。これを受け、同社はハラスメント根絶に向けた再発防止策を策定するとともに、杉山武史社長らの報酬減額処分も発表していた。12年に防衛省などへの水増し請求で世論の厳しい目が向けられた同社。企業体質は結局、変わっていないことを改めて露呈した。 
〔写真説明〕

(ニュース提供元:時事通信社)