岸信夫防衛相は13日の閣議で、2021年版防衛白書を報告した。中国軍が台湾周辺で威圧的な動きを繰り返す現状に触れ、「軍事的緊張が高まる可能性」を指摘。「台湾をめぐる情勢の安定はわが国の安全保障はもとより国際社会の安定にも重要」との認識を初めて明記した。
 昨年の白書は中台軍事バランスの変化などを説明するのにとどまっていた。最近の緊迫化を踏まえ、台湾有事が起きれば南西諸島に波及する危険を重視して表現を強めたとみられる。
 21年版白書は中国の海警船が昨年1年間に沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域内で過去最多の333日活動した実態を紹介。領海への侵入は「国際法違反」だと非難した。
 中国海警局の武器使用権限を明確化し、今年2月に施行された海警法については、岸氏が巻頭言で「わが国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならない」とけん制した。
 また、米中2国間関係に関する節を設け、「軍事的なパワーバランスの変化」が起き、インド太平洋地域の平和に影響を及ぼす可能性に言及。米国は台湾支援の姿勢を鮮明にしているが、台湾を「核心的利益」と位置付ける中国が妥協する可能性は低いと分析した。
 経済分野でも米中対立が顕在化していると指摘。特に高速大容量規格「5G」など技術をめぐる競争について「一層激しさを増す」との見通しを示した。 
〔写真説明〕2021年版防衛白書の表紙(防衛省提供)
〔写真説明〕防衛省の正門=12日、東京都新宿区

(ニュース提供元:時事通信社)