東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏1都3県で新型コロナウイルス感染「第5波」が鮮明になってきた。新規感染者数は東京に加え、3県でも緊急事態宣言発令の目安となる「ステージ4」に達した。ただ、政府は歯止めをかけようにも打つ手を欠いており、感染拡大が止まらない中で東京五輪は開幕を迎える。
 「新規感染者は首都圏で増加が続いている。飲食店が営業時間短縮などの要請に協力いただけるよう努めたい」。菅義偉首相は20日の政府・与党連絡会議で、飲食店中心の感染対策でリバウンド(感染再拡大)を抑えつつ、ワクチン接種を推進するという従来方針を繰り返した。
 東京はリバウンドの加速が顕著だ。20日の新規感染者数は1387人で、前週の同じ曜日と比べ557人増えた。都モニタリング会議では8月中に1日当たりの新規感染者(7日間平均)が2400人超となる試算も出された。首都圏3県も増加傾向で、神奈川県の黒岩祐治知事は19日、3県がそろって宣言を要請する可能性を示唆した。
 ただ、政府は宣言地域の拡大に否定的。大規模商業施設などへの休業要請も経済への打撃が大きく、これまで通り飲食店の協力に頼らざるを得ないのが実情だ。
 飲食店の酒類提供停止をめぐっては、与党などの批判を受け、金融機関や業者への働き掛けの方針を撤回した。政府関係者は「不満を募らせただけ。新たな対策が採りにくくなった」と声を落とす。
 内閣官房の資料(19日時点)によると、宣言発令中の東京の重症者用病床使用率、人口10万人当たりの療養者数、10万人当たりの新規感染者数(直近1週間)の割合はいずれもステージ4相当。埼玉、千葉、神奈川の重症者用病床使用率はそれぞれ20%程度だが、療養者数、新規感染者数は東京と同様にステージ4の目安を超え、さらに上昇傾向を示している。
 別の政府関係者は「現在の病床の状況なら医療逼迫(ひっぱく)には当たらず、神奈川などは宣言対象にならない。ただ、このまま増え続ければ病床が逼迫する可能性がある。どこかで食い止めないといけない」と危機感を示した。
 大阪府や北海道でも感染拡大の傾向が見られ、政府は五輪開幕日を含む22日からの4連休の人出なども分析する。週明け以降、対策の強化が可能か検討する。 
〔写真説明〕政府・与党連絡会議で発言する菅義偉首相(右から2人目)=20日午後、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)