新型コロナウイルス感染者の爆発的な増加を受け、緊急事態宣言の対象が神奈川など首都圏3県と大阪府に拡大された。京都をはじめ観光名所が多い5道府県にも宣言に準ずる「まん延防止等重点措置」を適用。薄日が差しつつあった夏の行楽需要は冷や水を浴びせられた格好で、回復を待ち望む関連業界では失望が広がる。
 「8月は例年満室になるが、今年は半分以下。このまま夏が終わってしまうのではないか」。京都市内の大手ホテル営業担当者は諦め顔だ。同市の土産物店「錦まるん」では売り上げが例年の半分程度に落ち込んだ。山内萌店長は「感染者がどんどん増えていくので夏休みには期待していない」と言葉少なだ。
 旅行大手JTBは先週、アンケートや経済指標を基に夏休みに国内を旅行する人の数が昨年比で5%増になりそうだとの推計結果を公表した。しかし、調査時点では現状を予見できておらず、業界関係者は「予想通りに旅行客が増えるとは楽観できなくなった」と肩を落とす。
 度重なる緊急事態宣言に、日本旅館協会の佐藤英之専務理事は「何とも言えないほど厳しい」と心情を明かした。廃業を検討する事業者もあるという。ワクチン接種進展後の需要回復に望みを託し、少しでも多くのホテルや旅館が営業を続けられるよう資金繰り支援に取り組む考えだ。
 30日に発表が相次いだ2021年4~6月期の決算では、JR東日本やANAホールディングスなどが軒並み純損失を計上。運輸業界の苦境が改めて浮き彫りになっている。 

(ニュース提供元:時事通信社)