国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第1作業部会は9日、人間活動の影響で地球温暖化が進んでいることについて「疑う余地がない」と初めて断定する報告書を発表した。2021~40年の間に世界の平均気温が約100年前に比べて1.5度上昇し、異常気象や海面上昇などが深刻化する可能性が高いと警鐘を鳴らした。
 人間活動による温暖化への影響について、13年の前回報告書は「支配的な原因だった可能性が極めて高い」と記載。しかし、今回は「熱波や豪雨などの現象は、人間の影響によるものだという証拠がより強固になっている」として、さらに踏み込んだ表現を盛り込んだ。
 報告書は、五つの温室効果ガス排出シナリオを設定し、気温上昇に関する新たな予測を提示した。50年に温室ガスの排出を実質ゼロに抑えることができるシナリオでも、21~40年の間に1.5度の上昇に到達する可能性が高いと強調。近い時期に1.5度に達する恐れを明示した。
 温暖化の進行により永久凍土の融解や積雪量の減少も進み、北極圏の海氷は、50年までに少なくとも1回は実質的に消失する可能性が高いという。温室ガスの削減が進まないケースでは、海面水位は2100年までに最大1.01メートル上昇し、2メートル近くに達する可能性も排除できないと明らかにした。
 一方で、1.5度の気温上昇にとどめれば、極端な気象現象のリスクを抑制できることに言及。上昇が2度に達する場合と比べて、「50年に1度」の極端な高温は30%程度減らし得ることを示した。
 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、気温上昇を2度未満に抑え、1.5度にとどめるよう努める目標を掲げる。しかし、報告書は20年までに既に約1度上昇していることも説明しており、対策を急ぐ必要性を強調。10月末から英グラスゴーで開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)での交渉に影響を与えそうだ。 

(ニュース提供元:時事通信社)