南太平洋のトンガ諸島付近で起きた海底火山噴火の影響で16日未明、津波警報が発令された鹿児島県の奄美大島と岩手県。「東日本大震災のような津波が来るかも」。沿岸部の住民らは不安の中、眠れない夜を過ごした。
 1.2メートルの潮位上昇を観測した鹿児島県奄美市小湊地区。町内会長の栄嘉弘さん(67)は16日午前1時ごろ、スマートフォンに届いた市からの防災通知に気付き、着の身着のまま妻と2人で高台に避難した。
 「夜遅くで状況が分からないので、助かるために逃げた。東日本大震災の時のような大きな津波が来るかもしれないという不安があった」と振り返る。自宅で様子を見ていた人たちもいたといい、「新型コロナウイルスの影響で最近は避難訓練ができていなかった。住民が計画的に避難できるよう行動を見直さなければ」と語った。
 奄美市役所では職員らが夜通し対応に追われた。市内では避難のため幹線道路が一時渋滞したほか、100歳の女性が避難の際に転倒して軽傷を負った。奥伸太朗危機管理室長(45)は「空振りでも市民に危険を伝えられればよい。(気象庁からは)通常の流れ通り伝達してもらえて、市としては問題なかった」と話した。
 潮位が1.1メートル上昇した岩手県久慈市でも、住民ら約300人が一時避難した。同市災害対策本部の担当者は「久しぶりの警報で、緊張感を持って対応している。夜中で市民の方も驚いたと思うが、引き続き冷静な行動を呼び掛けていく」と話した。
 災害時の避難場所に指定されている同市中心部のホテルには数人が避難した。フロントの男性は「今後も状況を把握しながら、避難してくる方がいれば休める態勢を整えつつ通常業務を続ける」と落ち着いた様子で語った。
 高知県の漁港では漁船が沖に流されるなどの被害が相次いだ。漁協関係者によると、同県室戸市の佐喜浜港では10隻ほどの漁船に被害が出たとみられ、少なくとも3隻が沈没、2隻が転覆した。