2022/05/17
防災・危機管理ニュース
ウクライナ軍は16日、南東部マリウポリのアゾフスタル製鉄所で、ロシア軍に抵抗していた精鋭部隊「アゾフ大隊」などが撤退を始めたと明らかにした。ロイター通信によると、兵士が乗ったとみられるバス約10台が製鉄所を出た。ロシア国営メディアは「負傷兵約50人を含む約300人」が退避したと伝えた。
ウクライナ側は、負傷兵は親ロシア派「ドネツク人民共和国」の支配地域にある病院に搬送されたと説明。撤退について「(部隊は)任務を完了し、命を守ることを命令された」と主張している。
アゾフ海沿岸のマリウポリは2月下旬から激しい攻撃にさらされ、3月にロシア軍が包囲。4月21日にプーチン大統領が「制圧」を宣言した後も、アゾフ大隊などが製鉄所の地下空間に立てこもっていた。一緒に避難していた女性や子供を含む民間人に関しては、国際社会の仲介で今月上旬までに退避が進められた。
マリウポリはウクライナ側にとって、侵攻を受ける中での抵抗の象徴。アゾフ大隊などは国民から英雄視されていた。ウクライナ軍は北部キーウ(キエフ)州などに続き、北東部ハリコフ州でもロシア軍を撃退しつつあるが、マリウポリ包囲戦では敗北し、アゾフ海沿岸をロシア軍に完全に制圧されたことになる。
ゼレンスキー大統領は動画メッセージで、これまで仲介に当たった国連や赤十字国際委員会(ICRC)などに謝意を表明。兵士の一部は重傷を負い、処置を受けている最中だとした上で「ウクライナには、英雄が生きていてくれることが必要だ。全員がこの言葉を理解してくれると思う」と国民に呼び掛けた。
〔写真説明〕ロシア軍の攻撃を受けるウクライナ南東部マリウポリのアゾフスタル製鉄所=15日公表のビデオ映像より(ロイター時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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