日米両政府は、23日始動した新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」で、貿易やインフラ投資面で台頭する中国に対抗する。域内の通商ルールをめぐり、日本にとって最善の策は米国の環太平洋連携協定(TPP)復帰だが、もはや現実味に乏しい。新たな枠組みを通じ、自由で公正な経済秩序づくりに賛同する友好国と対中包囲網を築き、主導権を奪い返すのが狙いだ。
 「米国のTPP復帰が望ましいという立場が変わることはない」。IPEF発足式典に先立つ日米首脳会談後の共同記者会見で岸田文雄首相は諦めない姿勢を強調したが、政府内には「復帰は不可能」(経済官庁幹部)と手詰まり感が漂う。
 IPEFは、2016年に日本が打ち出した「インド太平洋戦略」に米国が呼応する形で創設された。日本はTPPから離脱した米国に、再びアジア圏へ目を向けさせたいと期待する。
 一方、日本の役割は東南アジア各国との橋渡し。岸田首相は大型連休中の東南アジア歴訪で、IPEFへの参加を呼び掛けて回った。参加国は労働・環境分野での規制を受け入れなければならない半面、関税撤廃には踏み込まないため輸出拡大などのメリットがない。訪問先の反応は鈍かったが、発足式典にはインドネシアやタイなどを含む13カ国が出席した。
 今後は、サプライチェーン(供給網)やインフラ投資などで存在感を高める中国に対抗するため、実効性のある枠組みに仕上げて参加国を増やすことが焦点になる。外務省はまだ固まっていないルールづくりに向けて「いい知恵を出したい」(幹部)と意気込んでいる。 
〔写真説明〕インド太平洋経済枠組み(IPEF)発足式典の冒頭、記念撮影に臨む(左から)岸田文雄首相、バイデン米大統領、インドのモディ首相=23日午後、東京都港区(代表撮影)
〔写真説明〕インド太平洋経済枠組み(IPEF)発足式典に臨む、奥からバイデン米大統領、岸田文雄首相、インドのモディ首相ら=23日午後、東京都港区(代表撮影)

(ニュース提供元:時事通信社)